近年、家庭菜園においても、トマトやナス、キュウリなどの果菜類の苗が、4月の声を聞くと同時にホームセンターなどで販売されるほどですが、こんな時期に露地植えをしても、決してよい結果が得られることはありません。夏秋野菜にしても、苗が早く出回るのにつられて、タネまきもつい早くなっているように思われます。 では、早まきしすぎたとしたら、どのようなことが起こるのでしょうか?
第3図と第4図に、葉菜類のホウレンソウと根菜類のニンジンの結果を挙げてみました。ホウレンソウの発芽適温は15~20℃、ニンジンは20~25℃とされ、その範囲でそれぞれ90%台、75%台の発芽率を示しています。しかし、そこから温度が上昇すると発芽率は低下し、35℃では10%前後しか発芽していません。しかも、発芽にかかる日数も、7~8日を要しています。このような結果は、早くまきすぎる(温度が高い)と発芽が悪くなるので、その生育にも悪影響を及ぼすことを示しています。
また、早まきだけではありません。逆に極端にタネまきが遅れると、気温が下がってきて、発芽率には目立った低下は見られなくとも、発芽日数が長くなります。ホウレンソウでもニンジンでも、15℃前後の温度になるとこのような現象が認められます。発芽に要する日数が長くなるのは、それだけ生長が緩慢になっているからです。その結果、収穫期が思いのほか遅れることになるのは、いうに及ばないでしょう。
このように秋まき野菜の場合、その品種の能力を十分に発揮させようとするならば、「春野菜に比べてタネまき適期の範囲はせまい」と理解しておきましょう。
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